令和の怪作ガールズバンドクライ劇場総集編をみた

記事

ジミヘンドリックスもジャニスもカートコバーンも27で死んだ。
ロックは破滅的でロックミュージシャンは27で死ねないことにいつも絶望する。
かく言う自分も27に近づくにつれて何者かにならなければならないと言う強迫観念と何者にもなれない自己嫌悪に襲われる。まあロックミュージシャンではないし、昨年芸事からは降りた身なので過去の話ではあるのですが。
ルパさんごめんなさい自分語りでした。

20世紀少年で放送室に立て籠もりt-rexを垂れ流したケンヂは、27を過ぎても何者にもなれなかったことに軽く絶望していたが、同じように放送室に立て籠ってダイヤモンドダストを垂れ流した仁菜は27になって逸ることはあっても死ななかったことに絶望はしないだろう。

トゲナシトゲアリのメンバーはあんまり死にたがらない、と言うか明らかに生に執着している。生き辛さを感じつつも生きる為に働くし他者との関係を保とうとする。
死にたがらないロックバンドは新時代を予感させる素晴らしいものだ、それ故このガールズバンドクライというアニメは本当に怪作だと思う。

自我が成長によって他者からの干渉を受けなくなり、自分を守る為に必要無くなった自分の心のトゲを相手に投げつけるのがロック・ミュージックであると思う。
なぜ自分で捨てたものを集めて投げつけるのか、それはやはりその棘も自分の一部であったものだし捨てるには少し寂しさもあるのだろうと思う。まだ受け取ってくれる人間に受け渡すと言う行為が音楽に載せて行われるのがロックなのだ。渡し方がわからないから激しく受け渡すのだ。

本作ガールズバンドクライは自我をなんとか守ろうとする少女達の物語で、その過程でたくさんの大人になり方を知る。
子供と自分と今の自分が違う事をわかってもらうことが寂しくて嘘をつく少女であったり、捨てたと思っているものを捨てることができない少女であったり、自分が捧げてきた物に捨てられることを怖がる少女であったり。
ルパさんの話は敢えてしない、彼女はどちらかと言うとこちら側に立っている人間なので。

性善説的な物言いをするが人間は他者を害そうと生きていることはないと思う。しかし多感な時期には全ての言動は悪意を持って見えてしまう。これは概ね視野の狭さからくる物ではあるがそれは致し方ないものであると思う。
運悪く視野の狭さから全てが悪い方に転がっていった仁菜はこれまでと違った世界、人間と出会って視野を広げて、自我を確立しつつも感情に折り合いをつけて全てと向き合って生きていくわけである。

苦しくても生きてやるのだ。
21世紀に誕生した死なないロックバンドだ。

27で死んだロックミュージシャンは確かに怪物ではあっただろうが誰もが楽しく死ねたとは到底思えない。生を受けた以上心から死にたくて死ぬ者などいないのだと思いたい。

ガールズバンドクライ劇場総集編、本当に言葉では表せない程鬼気迫るものを感じる怪作です。
みなさんも新しい価値観の始まりの目撃者になって欲しいと思う。

余談
続き要らなくないか?
思春期全部の棘を全力で投げつけた運命の華という楽曲。これを聴いて以後のことはわからずそれぞれの想像に任せてキャラクターが生きていくのがこのコンテンツの綺麗な終わり方ではないだろうか。
と思ったがこの保守的な考えを伝えて仁菜が聞いたら、勝手なこと言うなって多分ブチギレてくるのでガチでおもん無いアニメが出力されてもガチでおもん無い曲が出力されてもこのコンテンツを応援しようと思う。
と言う事を言うとやっぱり良いと思ってないのに良いとか言うなって仁菜がブチギレてくる気がするから出来れば想像もつかない素晴らしいトゲを投げつけて来て欲しいと思う。

たまヲ

コメント欄